The charm of modern art swords
現代美術刀剣の魅力
800年以上にわたり
師から弟子へ。
現代の刀匠に受け継がれる「用の美の極み」
古来、日本特有の製法によって作られてきた日本刀。起源は800年以上前の平安末期にまで遡るといわれ、その製法は師から弟子へ受け継がれ、いまも現代の刀匠のもとで日々、作り続けられています。
世界各地に伝わる刀剣のなかでも、日本刀は「折れず・曲がらず・よく斬れる」という優れた武器でありながら、さらにはその形状や波紋の美しさから美術的価値の高い伝統工芸として多くの愛好家を有しています。茶の湯の世界で茶器や茶碗が重用されるように、日本の武士道の精神を伝えつつ、用いることのなかに美を見出してきた日本刀は、世界でも類稀なる文化を内包しており、まさに「用の美の極み」と言えるでしょう。
自分だけの
「ひと振り」に出会う喜び。
刻む名とともに、
後世へ伝えていくもの
現代美術刀剣とは、現代の刀匠の手による「新作刀」。文字通り新しく作られる刀であり、脈々と受け継がれ続けてきた日本刀の技術と文化をいまに体現するものです。新作刀の大きな魅力の一つは「注文打ち」、つまりカスタムオーダーで、オーナーとなる人にあわせて、長さや反り、形状などを決める言わば究極の「お誂え」となります。自分が思い描く一番素晴らしい刀を具現化できることは、アンティーク刀剣にはない魅力です。
また、誰にも使用されたことがない、ファーストオーナーになることも現代美術刀剣を所有する大きな価値の一つと言えます。古くは武士たちが刀に刻んで後世に名を遺したように、自らの名と思いを次の代へ伝えるものとして作刀を依頼する人が世界各地で増えています。
日本刀製作の技術を
未来につなげ、
文化の継承を担うという意義
明治に入り、武士の時代が終わりを告げて150年。侍という大きな顧客を失った刀鍛冶の多くは、包丁や鋏などの生活用品や農機具の製造に商いを移していくことを余儀なくされましたが、21世紀の現代においても日本刀を作り続ける刀鍛冶は日本各地におり、弛むことなく技術の研鑽を続けています。
しかし、作刀の文化と伝統の火を灯し続けていくことは、刀匠一人ひとりの誇りと志だけでは成し得るものではありません。技の継承とは、日本刀を手にし、求める人があってこそのもの。新作刀を誂えるということは、日本刀というこの国固有の文化を未来につなげていくということであり、その意義こそ、現代美術刀剣を所有することの魅力の一つでもあるのです。